鉱物油使用化粧品はニキビに悪いか?

「鉱物油フリーの化粧品を使ってるのに、ニキビが治らない」というご相談


「鉱物油フリー」「石油由来は使っていません」などの化粧品の宣伝方法があります。

これは「保存料無添加」や「界面活性剤不使用」などでも該当しますが、「こんな化粧品は危険」と前提を置けば「この危険なものを使用していない。だからわが社の物は良い。」という、比較的古典的な宣伝手法が成立します。

実際に説明を聞けば、

「鉱物油、石油系」と表現すると重油を想像する

鉱物系でも「ミネラル」と言われると「良さそう」と思ってしまう。

など、そのように私たちは言い方ひとつで感じ方が変わってしまうところがあります。

「化粧品のリスク」の経緯

化粧品販売の方法には様々ありますが、「無添加化粧品、鉱物油フリー、活性剤不使用」などを「化粧品への不安を煽るビジネス」とすると、悪く感じるかもしれませんが、これら定着したことにはそれはそれで経緯があります。

1970~80年代、化粧品などでアレルギーの炎症を起こした肌で、色素沈着が起きる女子黒皮症(リール黒皮症)が社会問題になりました。(今でもこの症状の写真を「販促ツール」として使用するところがあるようですが)

(参照記事:女子顔面黒皮症 [melanosis faciei feminae] 、最近のリール黒皮症における原因物質

当時、化粧品に使用する原料、成分の抽出・精製技術が未熟で、異物や不純物の混入があったことや、原因物質について事前の解明が無かったこと。また、「成分とアレルギー」の関連について知見が少なかったこともあり、化粧品でトラブルが起きたという経緯があります。

そして、そこからさまざまな「(他の)化粧品は怖いと言って、(うちの安全な)化粧品を販売する」という販売手法も広がりました。

現在から将来は?

現在ではこれらを前提に、化粧品の成分の抽出や、原料精製技術、試験技術やノウハウも向上しています。

そもそも、リスクの高い成分はすでに特定され、表示義務や規制がかかっています。
つまり鉱物油に限らず使用できなくなっています。

仮に心配な場合でも、新規成分や新規処方などに慎重であれば、化粧品トラブルのリスクは相当程度に低くなっていると考えていいでしょう。

※ただし「規制緩和」で将来的には変わる可能性もありますが、そこは政治の話なので、どうなるかはわかりません。(これについては、また別のところで書くかもしれません)

アレルギーに関しては普通に気を付けておきましょう

であれば「化粧品は絶対安全か?」という疑問も出てくると思いますが、アレルギーの問題はゼロにはなりません。

アレルギーは人によって原因物質が異なります。
たとえば「卵は優れた完全栄養食」ですが、卵にアレルギーがある場合は「危険」です。

そのため「今の化粧品は誰にとっても絶対に安全」とは言い切れません。

なぜか化粧品は「ぜったいか!?100%か!?」という話になりがちですが、そのあたりは普通にアレルギーの問題と考えておくようにしたり、肌について理解したり、パッチテスト、通常使用で異常な痒みなど、違和感を感じればすぐに使用をやめる、というように普通に対処するようにしてください。

ニキビに鉱物油は問題ない?

まず、化粧品の鉱物油使用自体に「問題が無い」という前提で、ニキビについても簡単に説明します。

ニキビは「肌表面の角質層が毛穴をふさぐ → 皮脂が肌表面に出れない → ニキビ菌が増えやすい環境になり炎症」という構造のものです。

したがって、「外に塗る油脂」自体はニキビの形成に関係がないのです。(実際化粧品を使用していない中学生でもできますし。)

ニキビは大半の方には「治せば解決する」ようなトラブルですが、治してもでき続ける場合、「治らない原因」を色々と考えてしまいます。

(参照:「何をしてもニキビが治らないのはなぜ?」というご質問

しかし問題は「治してもできること」なので、これではなかなか解決できない。

そんな時に「これが原因」と聞かされると、「油っぽい」「昔から言われている」といった感覚で、そんな気がしてしまいますが、上記にあるように十分に精製されていない油(鉱物でも植物でも)を使用して肌が荒れると、ニキビ形成につながることはあります。

という整理をしておいてください。

化粧品への過度の期待が過度の不安にもなる

また、化粧品自体に問題が無いのに、使用法や肌の扱いを間違えてトラブルを起こす→「怖しい成分が入っている」と感じるなどの場合もあります。

逆に「ピーリングや角質の除去をしていた」→「止めたら荒れた」という場合は、「バリアを壊してつるつる→壊さないので素の状態」であっても、「壊してつるつる」が基準になっていると、「つるつるじゃなくなったから肌に悪い」と感じることもあります。

このあたりはその都度その都度、化粧品と薬の違い、スキンケアと治療の違い、肌の仕組み、役割、行為と肌の反応、その経緯などを整理していかないと、なかなか問題が分かりません。

これも「効き目、効果効能の過剰な宣伝」の副作用で、雑誌やテレビに限らず、YOUTUBEやINSTAなどでも、明らかに滅茶苦茶な話をしているケースや、「巧妙に」話を組み立てていることもありますが、化粧品は薬ではありませんし、スキンケアは治療とは違います。

いきなり広告の話をうのみにして飛びつくよりも、まずは近所の化粧品屋さんなどで相談してみるといいかと思います。

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2020年10月7日21:03 / 投稿者:kazuyuki terada