胃腸の問題とニキビの関連
台湾の研究者による、胃腸、消化器官の疾病とニキビの関連について、統計調査が出ています。
Gastrointestinal comorbidities in patients with acne vulgaris: A population-based retrospective study
(ニキビ患者における消化器合併症: 集団ベースの後方視的研究)
※「retrospective study(レトロスペクティブスタディ-後方視的研究究)」とは、匿名化された過去データの調査研究になります。
腸と肌の関連調査
肌は身体最大の臓器とも言われますが、「腸-皮膚-脳 軸」という考え方があります。(日本語では「脳腸皮膚相関」や、もう少し絞って「皮膚腸相関」や「腸脳相関」という話も、検索すると出てきます。)
台湾の研究グループは、1997年~2013年までの台湾国民健康保険研究データベースのデータを用いて、ニキビと胃腸の病気との関係に焦点を当てた調査をしました。
結果として、ニキビ患者の合計18万5千491人が特定され、消化器内科医や結腸直腸外科医などの専門医による診断からも、リスク胃腸の病気のリスクありとのことです。
特に抗生剤治療があった場合、使用しなかった人より可能性が高く、これは、ニキビの重症度が高い場合や、全身性抗生物質の影響により、皮膚と腸の両方のマイクロバイオームのバランスが崩れたことが原因と考えられ、腸で炎症を軽減するのに自然な役割を果たしていた菌が減少し、炎症性ニキビの形成にさらに貢献。
また、いわゆる善玉菌である表皮ブドウ球菌の枯渇は、皮膚に炎症を引き起こす可能性があるという見解。
ニキビ菌も、ニキビの炎症に関与するのは特定の株ですのが、他の菌に悪影響が出ないよう、長期の抗生物質の使用は量、期間、作用機序を慎重に検討する必要があるということです。
※また、この調査は、イソトレチノインなどの自己負担治療の情報は含まれないものです。
細菌の話
基本的に「この内臓の具合が悪いと、どこそこにニキビが出る」というニキビ地図的な話ではなく、「内臓が悪いからニキビができる」という因果の話ではないことは注意しておいてください。
意識されにくいですが、皮膚と内臓の表面は、「ひとつながり」になっています。
ちょっとアレな話ですが、例えば肛門とお尻の皮膚は、厳密には境目が無く、でも無いのは不便なので、「肛門」となります。
イメージ的には、
なので、たとえば口、のど、食道や胃腸の表面も、
「体内だけど、体外の物の通り道」になっていて、この「体内の表面」も皮膚表面も、ひとくくりに「上皮」という名前があります。
(余談ですが、他の動物で言えば、牛や馬の「ひづめ」も含まれますし、サイの角も上皮です。)
これらは「死んだ細胞」でできており、腸や皮膚でも、その上には細菌が棲息し、様々な活動を行い、一定のバランスが保たれています。
これらの菌のバランスの変化や、炎症などが、肌-腸の相互に影響することは不思議な話ではありません。
(参照:善悪では割り切れないニキビ菌)
またここに「脳」も関与すると、今までとは違う見え方、考え方も出てくるでしょう。
食事で気を付けた方が良い点
調査の締めくくりでは、食事についても触れられています。
以前もお伝えしていますが、「グリセミック指数が比較的高い西洋型食生活」について、ここでは炎症ではなく「脂質合成促進」について触れられていますが、やはりニキビ悪化の関与の可能性が言われています。
ニキビ慢性化はどうすれば?
これらは「ニキビの悪化度合い・治療法・細菌・胃腸の病」についての関連の話であり、必ずしも因果関係を強調するものではありません。
「ニキビが治りにくい=内臓の病気が原因」というわけでもないので、ストイックに考える必要はありません。
どちらかと言えば、皮膚全体のバランス・身体全体のバランスという枠でものを見る方法という位置づけでいいかと思います。
実際、食事に気を使っても、要因が重なりやすい人はニキビの要因は重なりやすいです。また、ニキビはもともと「治せば解決する」という性質のトラブルとも違うものです。
慢性化しやすい・長期化しやすい場合はまず、カウンセリングフォームからご相談ください。
私たちもあなたと同じように、悩んでいました。でも今は...
2025年1月30日12:00 / 投稿者:kazuyuki terada