ピーリングジェルでニキビ跡が治らないご相談
ニキビ跡に悩み、ピーリングジェルで治そうとされ、うまく行かなかった方からご相談をいただきます。
- クレーターの跡と赤紫の色素沈着で悩み続けています。フルーツ酸配合のピーリングジェルなどで治療をしてますが効果が実感できない。
- ニキビが出来る数は減ったんですが跡がひどく残ってしまい、どうにかしたいと思っています。
ピーリングジェルは効きませんでした。 - 25歳頃からニキビ跡が治らなくなり、毛穴の黒ずみも酷く、毛穴がすごく目立っています。
ピーリングジェル、ピルの服用などなど、ニキビやニキビ跡に効果のあるものは試してきましたが一向に改善しません。
宣伝ではつるつるになっているのに、なぜ自分はうまく行かないのか?そう思われることも不思議ではありません。
肌の仕組みや構造なども含めて、考えていきましょう。
もくじ
ニキビ跡はニキビが「治った跡」
まずニキビの前にニキビは「肌の表面のバリアが毛穴をふさぐ→皮脂が出れない→菌の増殖などによる炎症」といったプロセスで毛穴がニキビ状態になるものです。
この時の炎症によって、毛穴周りの組織が傷つきます。この傷がキレイに治っていない状態がニキビ跡と言われる状態です。
ニキビ跡にも色素沈着、赤み、クレーターのように悩みのバリエーションは多くありますが、ここで意識しておきたいことは、いずれも傷としてのニキビが「治った状態」ということです。
ニキビ跡へのピーリングジェルの「効果」
まず皮膚科などで行う通常のピーリングは、「酸」によって肌表面のバリアを除去するという前提になっています。
肌の表面は体を守るバリアなので、ここを除去すれば、肌は新しいバリアを作ります。
大枠でピーリングはバリアに「ダメージを与えることで→再生を促す」という美容法です。※基本的に「再生させる方法」ではなく「ダメージを与えるもの」だという認識は必要です。
また、荒れた肌表面を除去すれば、実感として肌がすべすべしたり、滑らかに感じることができます。メイク乗りも良くなりますし、ツッパリ感が出ればハリが出た感覚を得ることもできます。
これを「古くなったバリアを新しい肌に入れ替える」と解釈すれば、いつまでもすっきりしないニキビ跡もどんどん治りそうに感じます。
またクレーターの跡は「カンナがけ」のようなイメージで平らになると考えていた方もいらっしゃいますが、そもそも木ではありませんし、クレーターの跡は真皮層の傷跡ですので、表面のバリアを除去することで、狙い通りに跡の部分の真皮が細胞を増やす刺激を与えれるかはわかりません。
いずれにしても肌表面のバリアを壊すことで得られる「良くなった感じ」がありますが、新しいバリアが「健康な肌」とは限りません。「ダメージを与える」ものですし、効果には副作用がつきものなので、基本的には医療機関で行うことになっています。
そもそも「古いから問題があった」のか?も、実際にはわかりません。
(参照:皮膚科のピーリングでも再発するニキビを肌から変えるノウハウ 、ディフェリンでもニキビが治らない、悪化した、効かない、増えた)
ピーリングジェルのニセモノホンモノ議論が話をこじらせる
市販のピーリングジェルの宣伝の多くは、このような「本物のピーリングのメリット」を、「手軽に得られる」という仕立てになっています。
しかし上記にあるように、そもそもピーリングのメリットも「一過性の感触」で、体を守るバリアにダメージを与える方法なので「単なるダメージと紙一重」です。
例えば「偽物とされるピーリングジェル」は、「ビニール手袋に塗ってもカスが出る。つまり偽物!」とも言われます。
「肌にダメージを与えない」と同時に「肌の再生を促さない」です。
もし、「古いのが問題だ→新しくすれば解決だ」という前提・目的で考える場合、これは「無意味な偽物」となります。
でも、もう一歩踏み込んで考えましょう。
「古いのが問題だ→新しくすれば解決だ」という前提や目的は、自分の肌が抱える問題の解決に合ってるのか?ということです。
ネットのピーリングジェルの情報(おおむねアフィリエイトサイト)などでは、「全部本物」「これは本物、これは偽物」「これはお勧め」というような話があります。
(参照:口コミランキングで評判の大人ニキビの化粧水。でも現実は)
でも、そもそも「ピーリングのメリット」自体が、必ずしも肌の健康や美容にプラスになっているとも限らないのです。
私たちの脳は「古い」と聞かされれば「新しくしたい」と思い、「代謝が悪いから」と言われれば「良くしたい」と思ったり、比較的自動的に反応を起こしてしまいます。
また、「つるつる感」の実感は、即効性を感じますし、ウケがいいのも事実です。
でも、このような判断基準自体が、私たちの肌が抱えている問題と関係ないかもしれませんし、むしろ悪化要因になるリスクの認識も必要です。
(参照:美顔エステ「ピーリング」でやけど状態に! 美しくなるはずが…)
ニキビ跡の赤みがピーリングジェルでも治らない
ニキビは「毛穴の傷」のような状態で、傷は表面から治り、徐々に中が治ります。
ニキビ跡の赤みは「まだ傷が治りきっていない」というような状態です。
傷は肌自身が治すものです。
傷といってもニキビのような小さな規模であれば、通常、本来的には刺激を与えず、十分に体を休ませ、栄養を摂取していれば、スムーズに治癒し、徐々に赤みは消えます。
しかし、「肌の細胞をどんどん入れ替えれば、肌はどんどんきれいになる」と考えて、肌表面をはがすほど肌に刺激を与えることになります。
ピーリングなどによる肌へのダメージや刺激は、「再生を促す」という仮定において、正しく感じるかもしれませんが、それは「傷」をスムーズにキレイに治すことを意味しません。
そのような状況ではむしろ炎症を悪化させたり、治癒を遅らせる要因にもなりかねませんし、刺激への反応(シミなど)を誘発させるリスクもあります。
(参照:ニキビ跡の赤みが残る治し方と、自然な肌色に回復できる方法の違い)
つまり、「本物のように効く、偽物だから効かない」という考え方自体が、問題解決に合いません。
ピーリングジェルでクレーターの跡が治りません
ニキビの傷が真皮表層(乳頭層)までの浅くてきれいな傷であれば、瘢痕状のニキビ跡が残ることは稀ですが、深くなって「肉」あたりまで傷が至ったり、傷の修復がスムーズに進行しない人の場合、凹凸の跡が残る場合があります。
ピーリングが扱うのは、肌の最表面である角質層です。
角質層を破壊して刺激を与えて、「真皮層より深い部分の再生を促す」、特に「跡だけを平らに」ということは、狙ってできると考えることは無理があります。
また先にお話ししたように「カンナがけ」のようにイメージするのは、端的に間違っていますので、むやみに刺激を与え、かえって凹凸を目立たせるのは避けるべきです。
これも「本物偽物」の話は関係ありません。
「治す」と「きれいにする」の違いを理解して
ニキビやニキビ跡など、気になる「症状」がある場合は、どうしても「その症状さえ治せばキレイになる」「肌の細胞をごっそり入れ替えてしまえば解決する」と考えがちですし、そのような宣伝が多いことで、それに拍車がかかりがちです。
でも、肌表面の細胞自体は、日常的に入れ替わっています。
「年齢によって滞る、老化現象」という話も、少なくとも60歳以上の話ですし、はがさないから滞るというよりも、「肌の水分保持力低下のために上手くはがれにくくなる」というものです。
基本的に肌表面のバリアは体を守るためのバリアです。
「創造的破壊」のモデルで考えたり、扱うことは、人間の脳には理解しやすいと言えます。
でも生物の身体として「健康と美容」「バリア機能とキレイさ」を目的にするなら、あくまでも肌の役割や仕組みに合わせて考えるべきです。
健康できれいな肌を目指したいなら、まずはWEBカウンセリングからご相談ください。
私たちもあなたと同じように、悩んでいました。でも今は...
2020年1月18日16:36 / 投稿者:kazuyuki terada