デンマーク、イソトレチノインの副作用で骨の痛み

デンマークのイソトレチノイン事情


デンマークの「TV2コスモポール」というサイトから、自身も服用しているというセルマ・ヘボル・グルンダールさんが、イソトレチノインの副作用に関する記事を複数出していましたので、ひとまず三本ざざっと概略を。

この薬が、完璧な肌への探求の始まりだった。

SNSではイソトレチノインの「成功談」が流通している

医師も「圧力」に押されて、軽度症状の患者にも処方してしまう(他の皮膚科に行かれたり、オンライン購入されたりするのを心配している)。

その結果、使用者は10年で倍増している。

「副作用の懸念」より「1つのニキビも許せない」という気持ちが優先してしまい、「自己流の服用」をする患者も増えている。

参照:この薬が、完璧な肌への探求の始まりだった

「一生薬を飲んでいたい」

作用が強力なため、依存してしまいやすい。止めると再発する不安のために「私に与える感覚に中毒になっていると言えるでしょう。」と自覚している。
リッケ・ベック医師によれば「再発を避けたいという患者さんの気持ちは理解できます。しかし、とりわけ、イソトレチノインを長期間服用し続けると骨に何らかの変化が起こることがわかっている」

また、デンマーク医薬品庁のライン・ミチャン氏は「うつ病、自殺念慮、自殺行為を見てきました。したがって、これらは深刻な状況」「自分のことをよく知っている医師の診察を受けることが非常に重要」と説明。

参照:「一生薬を飲んでいたい」

奇跡の治療法はアマリーを助けるはずだったが、彼女の人生を本当の悪夢に変えた

アマリ―という女性の体験談。
薬を飲み始める前は、学校や友達、課外活動など、普通の10代の生活を送っていました。「私は非常にエネルギッシュで計画的、勉強、乗馬、運動が大好きだった」と彼女は語っています。

友人の勧めで服用を始めるも、数か月で骨に痛みが生じ、「骨がとても乾燥しているため、骨がザクザクしている。体中、関節、背中全体に痛みがある。何もかもが痛いだけ」

6か月後に使用を中断したものの、2年経っても副作用が消えないまま。

結局、友人やパーティや運動など、楽しい学生生活を諦めることになり、でもそれだけではなく、パッケージにある通りの副作用にも拘わらず、医療制度上の補償もない。落ち込み、自殺願望も出てくる。

参照:奇跡の治療法はアマリーを助けるはずだったが、彼女の人生を本当の悪夢に変えた

ということです。
各記事の文末には、自殺予防のカウンセリングのための連絡先が記載されていますので、深刻な状況に陥ることがあるということですね。

デンマークの医療制度

デンマークでは基本的に「公的医療は無料」であり、同時に「高額自己負担の自由診療」もあるとのことです。

使用者が倍増しているということですから、おそらく公的医療での処方であり、また上記医師が記事内で「処方しなければならない圧力」があると述べていますが、他院やオンライン診療をされると管理にも問題が生じますので「管理下で処方せざるをえない」という形で、使用者が増えてしまうのかもしれません。

ニキビとイソトレチノイン

まず、ニキビ自体は「肌表面のバリアが毛穴をふさぎ→皮脂が出れず→ニキビ菌などで炎症」といったプロセスが毛穴で起きた結果生じます。

イソトレチノインはニキビに対して「バリアの除去」と「皮脂抑制」を同時に行えるので「強力に効く」と言えます。

(参照:イソトレチノインでもニキビが治らない・再発のご相談

が、皮膚や粘膜だけでなく、目や爪、頭髪、そして関節や骨にも影響があるので、安全に利用するにはコントロールが難しいものです。(他にも妊娠に関わる問題も生じます。)

(参照:イソトレチノインのニキビ治療での副作用等のレポート

またニキビ自体は「肌表面のバリア・皮脂・ニキビ菌」といった、「普通に肌に存在するもの」のバランスが、ニキビになるバランスになれば生じてしまいます。

普通の毛穴とニキビ化した毛穴

ニキビに悩む状況ですので、「ニキビさえなければキレイ」と感じますが、薬の作用でバリアの除去や皮脂の抑制はできますが、それは「肌や身体がノーマルなキレイな状態」になったわけではありません。

個人輸入での使用は避けましょう

イソトレチノインの話では再三お伝えしていますが、作用の強い薬ですので、上記のように深刻な副作用のリスクもあります。もし使用される場合は医師の管理下で行うべきもので、個人輸入・自己判断で使用すべきではないでしょう。
(参照:個人輸入のイソトレチノインでも治らないというご相談。

ニキビやニキビ治療に多い誤解

ニキビは「肌に普通にあるもの」でできてしまいます。普通にキレイな肌の人でも、たまに小さいものができてしまうことはあります。条件が揃うと、毛穴はニキビ状になるからです。

とはいえ通常、慢性化や悪化には至りません。

また、イソトレチノインに限らず、医療的なニキビ治療は対症療法ですから、上記のように「バリア除去・皮脂抑制」また「殺菌」などで、「治療中、ニキビを抑制するもの」です。

イソトレチノインの効果と健康な肌

治療の効果によって、肌や身体が自然でノーマルな状態のキレイな肌に回復・維持し、ニキビができなくなるわけではありませんし、そもそも、それを目的にもしていません。

(参照:医療的なニキビ治療の考え方

肌を健康でキレイにするには?

ニキビができやすい場合、どうしても「ニキビが無い=キレイ」と思いますし、ニキビ治療やニキビエステなども、そのようなニーズにこたえてニキビを消せますが、それは「通常の肌の状態」とは別の状態です。

このあたりを区別し、状況を俯瞰することから根本的な改善に取り組むことができます。
まずはカウンセリングフォームからご相談ください。

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2024年12月12日12:00 / 投稿者:kazuyuki terada