MFG-E8 皮膚の創傷治癒における新たな制御機構を発見(群馬大学)
群馬大学(群大)は、米国立衛生研究所(NIH)との共同研究により、皮膚にキズができるとMFG-E8というタンパクがキズの中(肉芽組織)に多く分泌されることや、MFG-E8が血管量を増やすことでキズの治癒に重要な役割を果たすこと、難治性皮膚潰瘍ではMFG-E8が低下していることも明らかにした。
※詳細はこちら→皮膚の創傷治癒における新たな制御機構を発見(pdfファイル)
以下かいつまんで概要
まず、マウス背部皮膚を用いた創傷治癒モデルを確立。
分泌蛋白質MFG-E8は、マウスの背部皮膚にキズ(創傷)を作り、4日目から発現が増加。肉芽組織に全体に発現が見られ、特に血管周囲に多く発現が見られた。
さらに、MFG-E8ノックアウトマウスででは、キズの治りが遅くなり、血管数も低下。
以上の結果、MFG-E8は皮膚にキズができると多く分泌され、血管数を増やし創傷治癒を促すことが判明。
また、ヒトの創傷部(褥瘡部)でのMFG-E8の役割についても検討。
血管を豊富に含む肉芽組織は、血管の周囲にMFG-E8の発現が多く、なかなか治らない褥瘡の不良肉芽組織ではMFG-E8の発現が低下していた。
つまり、ヒトにおいてもMFG-E8が血管新生を介して創傷治癒を促す可能性があると考えられました。
床ずれなどの治り難いキズ、また糖尿病や循環障害によって治りにくいキズでのMFG-E8の役割を解明することで、将来的に難治性のキズの治療法や治療薬に貢献できることが予想される。
ニキビやニキビ跡などの美容上の問題への応用はわからないけど
ニキビやニキビ跡による小さな傷の状態と、その小さな傷が問題であるような美容上の問題に、どこまで応用可能かはわかりませんが、人体の自然治癒のメカニズムの解明は、何らかの応用は可能かもしれません。
またMFG-E8は、臓器によってはアポトーシス細胞(役割を終えて死んだ細胞)の分解にも重要な役割があり、これが機能しなければ、自己免疫疾患を発症することにもなるともいわれています。
よく「元気な細胞を作れば肌は元気になる」的な話はありますが、身体のシステムは、合成と分解をくり返しながら機能するシステムです。
だから細胞が生まれるだけでなく、死んだ細胞を正しく弔う事も含めて、人体の健康は考えるべきといえるのでしょう。
世の中も同じかもしれませんね。
私たちもあなたと同じように、悩んでいました。でも今は...
2014年6月13日22:05 / 投稿者:kazuyuki terada