エステでのニキビ悪化や増加は好転反応?
フェイシャルエステや化粧品の使用でニキビが増えたり悪化した場合、「好転反応」と説明を受けることがあるようです。
私どもにも以下のようなご相談が寄せられます。
- 4ヶ月前からハーブを肌に擦りこむピーリングをしましたが、好転反応なのか、ニキビがたくさんできたりして、特に治ることもなく。
- 25でエステサロンに通い始めて、顎とフェイスラインに大量にできはじめて、跡にもなってしまいました。
多くの場合、「悪いものを出そうとしている」「浄化作用」「デトックス」的なイメージで語られるようですが、毛穴もニキビもそういった性質のものとは違います。まず、肌の仕組みやニキビについて大枠でも理解しておきましょう。
表皮のターンオーバーとニキビ
私たちの体は皮膚におおわれ、その一番表面は角質層と言われる、わずか0.02ミリの薄いバリアがあります。
角質層は、さらにその0.2ミリ深い表皮基底層で分裂した細胞が、徐々に押し上げられ、分解され、死んだ細胞でバリアの構造をつくります。そして体を守り、古くなれば剥がれて垢になります。
このサイクルを表皮細胞のターンオーバー(新陳代謝)といい、肌の表面は細胞や物質自体は入れ替わりながら、バリア構造を維持します。
(参照:きれいな肌とは?)
毛穴とニキビ
毛穴には皮脂を出す皮脂腺があり、通常、皮脂は毛穴から皮膚の表面に排出され、皮脂膜を形成します。
でも、角質層は毛穴の中まで入り込んでいて、この角質層が毛穴をふさぐ・詰まることがあると、皮脂は皮膚表面に出れませんし、ニキビや角栓の状態にもなります。
ニキビはブツブツした見た目や、中の皮脂や膿から「体内の老廃物・毒素が排泄される反応」などのイメージで色々言われますが、そういうものではありません。
ニキビは顔、胸元、背中などにできやすいですが、「毛穴が小さく・皮脂腺が発達した場所」です。
つまり「皮脂量が多く、毛穴がふさがりやすい→条件がそろうとニキビができやすい」のです。
(参照:ニキビ、ニキビ跡解消のコツ)
新陳代謝の誤解
また、角質層は体を守るバリアですので、過剰なマッサージやクレンジング、ピーリングなどバリアを破壊する行為を行えば、「バリアが弱い状態」になります。こんなご相談もあります。
- エステで2回ピーリングしましたが好転反応なのか出る頻度が増えました。エステティシャンなので知識はありますがお手上げ状態です。
元々バリアが弱い場合や、さらにピーリングや過度のクレンジングをおこなってバリアが弱い状態になれば、表皮はそれをカバーするために急いで角質層のバリアを作ります。
ただ、この時のバリアは一時しのぎのバリアなので、弱い・厚くもろい・はがれやすいなど、様々な問題があります。
よく「古い角質が毛穴をふさぎ」という説明がありますが、毛穴をふさぐ角質層は、別に「古い」のではありません。
でも聞かされる立場では「古いなら→新しくして解決」と考えます。
でもバリアを壊せば、肌は「新しくて弱いバリア」を急いでつくります。
通常の場合、このような反応は一時的なものですが、対象となる肌が弱い場合や、バリアを壊しすぎた場合などは、
「バリアが壊れる繰り返し→毛穴がふさがるくり返し→皮脂が出れないくり返し→ニキビのくり返しや悪化」
になることもあります。
ニキビができることは「好転反応」というものではなく、冷静に「今はニキビの形成要因がそろっている」と意識するようにしましょう。
- 「好転反応」と言われても、健康被害が出たら利用は中止:国民生活センター
- 好転反応:厚生省(PDFファイル)
好転反応が止まらないなら
エステの施術は、その時々の行為です。したがって長期的に表皮細胞のターンオーバーに問題がある場合、一時的に肌表面に何かをしても、長期的なサイクルを正常には戻せません。(参照:ターンオーバーを促してニキビは治るのか?というご相談)
また化粧品は、薬品のように肌に作用を及ぼし、ターンオーバーを正常にし、肌自体を丈夫にするわけではありません(副作用もありませんが)。
バリアを壊す施術やケアは、即効で「つるっとした感触や実感・肌の変化」を演出するには有効です。角質層は死んだ細胞で構成されていますので、ある程度肌が丈夫なら、「毒出し、デトックス」「古い細胞を新しくする」などの話も害は少ないかもしれません。
でも、元々バリアが弱く、トラブル反応が出やすい肌では、行為自体が悪化要因になりかねません。
パックやクレンジング、ピーリング、マッサージなど、美容の中でもバリアを壊す行為は多くあります。これらでトラブルが悪化する場合、肌と方法の相性を見直すことをお勧めします。まずはWEBカウンセリングから。
好転反応は魔法の言葉で、民間療法でよくなれば「効果があった」と言い、悪くなれば「好転反応だから効果が出ている」と言うだけなんだよね。どっちにしても治療の効果が出てることにされちゃう。好転反応という表現を使う治療を信じちゃだめなんだ
— 菊池誠(10/31ベアーズ11/7ムジカ (@kikumaco) 2016年5月18日
私たちもあなたと同じように、悩んでいました。でも今は...
2017年10月22日14:51 / 投稿者:kazuyuki terada