ニキビが治るレチノール化粧品を使ってみましたが。というご相談
- レチノールを勧められてクリームを塗るようになりましたが、翌日に小さくなったようにみえるものの、そのあとさらに吹き出しました。ニキビ痕も気になります。
こんなに常にあるのは10年ぶりくらいです。 - 現在治療薬はレチノールのクリームとクリンダマイシンです。使用前より悪化してニキビが増え始め顔にフケが出来ています。
ニキビの出来るプロセス
ニキビは、毛穴で肌表面のバリアが皮脂の出口をふさぎ→皮脂が出れない→菌などで炎症と言ったプロセスを経て形成されます。
レチノール化粧品に期待されるニキビ治療効果
化粧品に含まれたレチノールは、皮膚に浸透することでレチノイン酸に変換されます。
(参照:微量栄養素情報センター「ビタミンA」 ※オレゴン州立大学ライナスポーリング研究所の提供するウェブサイトへ移動します。アフィリエイトリンク、認証リンクではではありません。)
ニキビに対しては「表皮、角質層の入れ替わり(ターンオーバー)」を促すことで、毛穴をふさぐ角質層を除去できます。酸によるケミカルピーリングとは違うプロセスですが、ニキビへの効果としては似たタイプと言えます(なので、美容系の皮膚科などでは「レチノールピーリング」といった方法をされている所もあるようです)。
(参照:なぜ、ケミカルピーリングでニキビは増えたのか? 、 A反応を乗り越えてもニキビが治らない、A反応が止まらないご相談)
また、コラーゲンを増やすなど、老化にも良いとされるため、ニキビ跡にも効果があると言われます。
レチノールでニキビ悪化
上記のように、ニキビ自体は治すことができますが、肌の表面は常に入れ替わっています。入れ替わったバリアが正常なバリア構造で安定していれば、さしたる問題はありません。
ただ、せっかくバリアを入れ替えても、新しいバリアが毛穴をふさげば、その毛穴はニキビになってしまいます。
- 顎周りに膿んだしこりニキビがたくさんできるようになり、レチノール系やビタミンCの美容液で一度落ち着きましたが、夏頃からまた悪化、脂漏性皮膚炎のようになり、処方されたエピデュオは副作用が強くニキビも増えてしまった。
特に、もともと乾燥やバリアの荒れを伴って、ニキビが出やすい人の場合、この傾向が更に強くなるのは不思議なことではありません。また「レチノールでニキビが増えた」ではなく、「角質の除去をしても、またバリアが荒れて、また毛穴がふさがった」というように、肌で起きている循環を意識しておく必要があります。
(参照:二度とニキビができないようにするにはどうすれば?というご質問 、 「何をしてもニキビが治らないのはなぜ?」というご質問)
レチノールでニキビ跡が治らない・増えた
- 美容皮膚科でレチノールなどの保険適用外の薬も買って塗っていましたがあまり効果がでませんでした。一時的な効果で慢性化している気がします。今では顔をニキビ跡で埋め尽くしています。
ピーリングや代謝促進と同じイメージで、ニキビ跡にも効くのでは?と考えられる方は多いのですし、そのような期待を煽る宣伝も多くあります。
主に色素沈着などで、「ターンオーバーの促進で色素排出」とイメージされる方は多いのですが、傷跡の治癒もそのような仕組みで解決するわけではありませんし、炎症が悪化する場合は逆効果になる場合もありますので、これも注意が必要です。
(参照:ニキビ跡が皮膚科でも治らない場合の方針のたて方 、 ビタミンCの美容液でもニキビ跡に効果がない。というご相談)
レチノールで治らないニキビの解決方法
レチノール、ビタミンAは炎症悪化のリスクもありますので、日常使用が前提の化粧品は、リスク最小化に配合も控えめになります。個人差も伴うために、「多ければリスクが高く、少なければ効果が見込めない」ということになるケースもあります。
いずれにしても、ニキビは本来、多くの方にとっては「治せば終わり」の肌トラブルです。
でも、ニキビを構成しているのは、肌の表面、皮脂、ニキビ菌といった、誰の顔にもあるものです。
これらのバランスが改善しない場合、「ニキビに効く化粧品」でニキビを治しても、またニキビができるのは不思議なことではありませんし、ニキビを治す方法は、肌のバランス改善や、その維持が目的ではありません。
もし、健康でキレイな肌をお望みなら、まずはカウンセリングフォームからご相談ください。
私たちもあなたと同じように、悩んでいました。でも今は...
2022年8月22日20:00 / 投稿者:kazuyuki terada