
「レチノールvs角質除去」Tiktokerの動画
「レチノール対角質除去」の動画
海外で人気の美容系インフルエンサーBambi Does Beauty(本名エレノア 34歳)という女性の投稿が多少話題になっているようです。要約すれば、「1日三回のクレンジング、角質除去のしすぎより、レチノール単体での美容の方が良い」というものです。
ビデオで彼女がいうには「角質除去のし過ぎで、ニキビは10倍悪化した」というもので、現在は週数回レチノールでコントロールしているということです。
ただ、コメント欄では
- 「レチノールは私の肌のバリアを台無しにしました。万人向けではありません。私は31歳ですが、使用をやめてからすぐに肌が劇的に改善しました。」
- 「私はレチノールと非常に低い強度を6か月以上使用し、それが私の肌を悪化😭させました」
- 「レチノールはもう終わったような気がします!私はパージの段階を過ぎたことがなく、使い始めるまでは素晴らしい肌を持っていましたが、6か月以上にわたってひどいにきびが出ました」
等のコメントもあります。どういうことでしょうか?
キレイな肌
この手の話はレチノールや角質除去の良し悪しの議論になりがちですが、その前に、「どんな状態の肌が、健康でキレイな状態か?」が重要です。
特にニキビのような目立つ症状がある場合、「ニキビが消えれば=キレイ」と感じますが、長期的なニキビに関して「治療が終わると再発・薬が効かなくなった」などのお悩みもあります。その場合は「消しても、またできるのがニキビ」です。(参照:治らないニキビの正体はこれです。)
この問題は「症状の有無・増減」とは別の視点も必要です。
肌は表面に角質層という0.02㎜しかない薄いバリアを形成します。このバリアは表面から0.2㎜深い表皮基底層という部分で分裂した細胞が分解されながら押し上げられ、つくられるものです。
バリア自体は身体を守り、しばらくすれば垢になり、剥がれ落ち、また新しく分解されたバリアが表面で体を守ります。
肌の表面ではこのように「細胞や物質」が入れ替わりをくり返す、「使い捨て」のシステムになっています。
見た目にキレイでトラブルにも強い健康な肌は「正常な構造のバリア」を「入れ替え続けている」状態です。(参照:きれいな肌とは?)
角質の除去という美容
例えば荒れた角質層=バリアが毛穴をふさぎ、ニキビ状になっていれば、毛穴をふさぐ角質の除去で「ニキビに穴が開き→治る」と言えます。(参照:ピーリングでも効果なし。というご相談。)
が、バリア自体はくり返し作られ、入れ替わり続けます。入れ替わり続けるバリアが荒れ続けるなら、同じことが繰り返されます。
特にその人が、もともと荒れやすい肌質や、上記の動画のように「壊しすぎ」になると、肌は身体を守るため、未熟で荒れたバリアを短期間で入れ替えるようになります。
たとえば「人前に出るので、一時しのぎでバリアの荒れを取る」ような目的なら、角質の除去は目的に合います。
でも「長期的に肌を健康でキレイにしておく」場合は、バリアの除去をくり返しても、肌は仕組み上、常に未熟なバリアを急いで作る(作らざるを得なくなる)ので、目的には合わないことになります。
レチノールでの「角質除去」も「不自然な状態」
引用元の記事では、レチノールの作用と、角質除去は「別物」のように言われており、逆にコメント欄では同じようなもののように扱われています。
一応整理しておくと、レチノールは「物理的・化学的に角質除去」をしないにもかかわらず、「角質除去に役立つ」ような結果になります。
“表皮のターンオーバーを促進し、表皮細胞の基底層と角質層の増殖を加速します。”
レチノイド:化粧品や皮膚科治療における皮膚構造形成に影響を与える活性分子
(参照:イソトレチノインでもニキビが治らない・再発のご相談 , ニキビが治るレチノール化粧品を使ってみましたが。というご相談)
イメージとしては
ピーリングやスクラブなどは、「バリアを溶かす・剥がすことで、新しい細胞を引き出す」
レチノール類は「細胞を押し出し、バリアを押し出す(排出)」
ような形になります。ベクトルでいえば、前者は「引き」の角質除去、後者は「押し」の角質除去のような形です。
良し悪しは目的次第ですが、要点は「いずれの方法でも健康でキレイな肌で安定すること」を目的にしていないということです。
なので、これらの方法に耐えれない肌では、どちらでも問題が生じますし、それもコメント欄の通りです。
(参照:トレチノイン治療でのしこりニキビ解消ケア)
話題のインフルエンサーの方は、1日三回クレンジングなどもされており、おそらくですが、もともと「丈夫な肌」かと思います・・・。
レチノールでも角質除去でも解消しないニキビはどうすれば
ニキビは角質層、つまり肌表面のバリアが毛穴をふさぎ、毛穴がニキビ化した状態です。
肌のバリアもですが、毛穴でニキビを構成する皮脂やニキビ菌も、入れ替わりをくり返すものです。
その時々の「ニキビの有無」が問題なら、バリアの除去も解決方法です。
が、これは「正常なバリアの入れ替え」にはなりませんし、肌質などによっては、「ニキビの問題」にプラスして「バリア除去による問題」も生じます。
この解決は、方法よりもまず、「目的をどうするか?」が重要になります。
まずはカウンセリングフォームからご相談ください。
私たちもあなたと同じように、悩んでいました。でも今は...
2025年3月6日12:00 / 投稿者:kazuyuki terada