肌トラブルとは?
「キレイな肌」とは、角質層のバリア構造が、安定的に正常に形成できている肌です。
しかし、角質層は体の一番表面のバリアです。ここが乾燥状態、損傷、機能喪失などになると、体を守るバリアとして「十分に機能しない状態」です。
そのため、このようなケースでは、肌では「第2のバリア」が機能します。
ターンオーバーが早くなる
正常な角質層の入れ代わりは、およそ4週間ほどと言われています。
肌上部の表皮基底層で、角質になる細胞が分裂し→徐々に表面に押し上げられ→細胞自体は死んでいきます。
そして死んだ細胞と分解された物質でバリアを構成し、表面ではがれて垢になる、というサイクルがあります。これを表皮のターンオーバーと言います。
しかし、表面のバリアが壊れたり、乾いたり、刺激を受けたりした場合、肌は大急ぎで「一時しのぎのバリア」をつくります。
これは必要な反応ですが、急いでつくられたバリアは弱く、さまざまな問題が起きます。
結果として肌の状態は、肌荒れや乾燥肌、毛穴が目立つ、角栓、毛穴を詰まらせニキビを形成するなどの美容上のトラブルとなります。
表皮色素細胞の活性化
表皮層には角質層のもとになるケラチノサイトという細胞だけでなく、肌色をつくるメラノサイトという色素細胞があります。
このメラノサイトが通常よりも活発にはたらくようになると、日焼け、くすみ、シミ、くま、色素沈着などの肌トラブルの原因になります。
色素細胞は紫外線に対する反応はもちろんですが、他にも乾燥や、まさつ・こすれ、ヒフの炎症などでターンオーバーが活発になる状態にも連動します。
肌がくすんでしまったり、ニキビ跡がシミになって残りやすいなども、このような反応が関与していることも多くあります。
神経の伸長
ヒフの神経は通常、表皮の下方に存在ます。
しかしバリアの乾燥状態や壊れるようなことが続くと、表皮では神経成長因子がつくられます。
そのため、ヒフは、通常よりも表面近くまで神経を伸ばすようになります。
その結果として、肌は通常なら感じないようなカユみやヒリつきを感じやすくなり、いわゆる敏感肌の状態になります。
特に敏感でない人でも、冬季になると空気の乾燥やエアコンなどで肌が乾燥し痒みが出やすくなることがあります。
またアレルギーの痒みは必ずしも乾燥やバリアの問題の結果で起きるばかりではなく、アレルギー反応の結果、乾燥や痒みを起こす場合があるので、区別が必要です。
免疫反応
人の体には、外からの細菌やウイルスなどの異物を発見し、排除・抹殺する機能があり、これを免疫反応といいます。
この働きは、炎症・発熱などの症状として現れるものです。
ニキビの赤みや赤ら顔のいくつか、化膿なども、大きく見れば、このようなヒフが「体を守る」ための働きの結果でもあります。
またこの反応自体が表皮のターンオーバーを活発にしたり、痒みを生じるなど必ずしも因果関係がはっきりするケースばかりではありません。
化粧品は一般的には薬のようなものと誤解されることがあります。そのためアレルギー反応から起きる肌トラブルを、化粧品で抑制しようと考える方もいます。
しかし、このようなケースでは、通常とは因果関係が逆の場合もあるので、注意が必要です。
肌トラブルは必要悪?
これらは「美容上のトラブル」ですが、見方を変えれば「人体には必要な機能」でもあります。
角質層のバリアはもともと薄く、つねに体の表面で外部の刺激にさらされます。
そのため問題が起きた場合の「備え」として、様ざまな反応を起こし、体を守るためのバリアとしてバランスを保ちます。
人体の「生物として必要な機能」と、人間の「社会生活の都合」がミスマッチを起こしている状態が美容上の肌トラブルという状態になります。
ただし、このような反応は、多くの方に取っては一時的です。誰もが「ちょっと肌の調子が悪い」というレベルの経験はあるかと思います。
でも多くの方は、しばらくすればバリアが丈夫な状態に回復し、トラブルが深刻になることは少ないです。
でも、丈夫なバリアを作るサイクルに回復できないままの場合では、バリアのバランスを保つために、これらの反応が慢性化します。
肌トラブルは症状に目がいきがちですが、慢性化する場合には、このような肌の状態の慢性化をイメージしておくことが必要です。
私たちもあなたと同じように、悩んでいました。でも今は...
2017年2月18日01:33 / 投稿者:kazuyuki terada